意外と知らない呼吸の仕組み【正しい呼吸の方法】

呼吸は、私たちが生きるために不可欠な身体機能の一つです。毎日何気なく行っている呼吸ですが、その仕組みは意外と知られていないことがあります。ここでは、呼吸の仕組みについて解説していきます。呼吸について理解し、その重要性を理解していきましょう。

目次

呼吸の仕組み

呼吸には、気道、肺、呼吸筋、神経などが関与します。通常、呼吸は自律神経によって制御され、自動的に行われます。以下に、呼吸の仕組みを簡単に説明します。

STEP
息を吸う

意外かもしれませんが、肺は筋肉ではないので、それ自体では収縮したり拡張することはできません。横隔膜や肋間筋などの呼吸筋の運動によって、胸腔内の圧力が変化し、それにより肺は受動的に拡張し、空気が入り込みます。

呼吸を管理している「呼吸中枢」は脳幹にあり、自律神経によって制御されています。呼吸中枢は、呼吸の深さ、速さ、リズムを調整し、身体に必要な酸素と二酸化炭素のバランスを維持します。

STEP
ガス交換が行われる

鼻や口から吸い込まれた空気は、気道を通り肺へと到達します。肺には肺胞という袋状の器官が約300~700億個あり、そこで酸素と二酸化炭素の交換が行われます。

STEP
息を吐く

息を吐くときには、肺から空気を排出するために呼吸筋が収縮し、気道を通る空気の圧力が上昇します。この圧力が気道内の空気を外に押し出すことで、呼気が発生します。

呼吸筋の役割について

呼吸筋は、呼吸をするために必要な筋肉で、主に、横隔膜や肋間筋などが呼吸筋に分類されます。

横隔膜

息を吸う時に収縮して下方に移動し、胸腔を広げることで肺を拡張します。息を吐く時は弛緩することで、胸腔を狭めて肺を収縮させます。

肋間筋

肋骨を持ち上げることで胸腔を広げる働きがあります。

呼吸時の肋骨の動き

呼吸に伴って、肋骨は上下に動きます。吸気の時には、横隔膜が収縮し下がり、胸郭容積が拡大します。この時、肋骨は前後方向に広がり、胸郭が膨らみます。呼気の時には、横隔膜が弛緩し上がり、胸郭容積が縮小します。この時、肋骨は前後方向に狭まり、胸郭が収縮します。

呼吸筋は他にも、吸息筋で胸鎖乳突筋、斜角筋、僧帽筋、脊柱起立筋、僧帽筋呼息筋で内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋、腹直筋なども関わってきます。しかし、これらの呼吸筋はあくまで補助的に働く筋肉であり、主な呼吸筋は横隔膜と肋間筋です。吸息の70%は横隔膜による腹式呼吸で、残り30%は肋間筋による胸式呼吸で行われます。

現代社会で避けて通れないのが、パソコンやスマートフォンの使用です。画面をのぞき込んでいる姿勢は、首が前に出て前のめりに背中を丸めた、いわゆる猫背姿勢です。猫背では、肋骨と肋骨の間が狭くなり、胸郭が縮まった状態で、主な呼吸筋である横隔膜や肋間筋がうまく作用できなくなり、胸郭の収縮・拡張運動に影響を与えます。

呼吸と自律神経の関係

呼吸は自律神経によって制御されています。自律神経には「闘争・逃走神経」の交感神経「リラックス神経」の副交感神経の二種類があります。交感神経が優位な状態では、呼吸は浅く、速くなります。副交感神経が優位な状態では、呼吸が深くなり、心拍数や血圧が低下するなど、身体がリラックスする状態になります。

自律神経が整うためには、ストレスや緊張を緩和することが大切です。呼吸法を取り入れることで、副交感神経を刺激し、呼吸を深く、ゆっくりとすることができます。また、日々の生活の中で、ストレスを感じたときには、意識して長く息を吐くことで身体がリラックス状態になります。

自律神経が影響を受ける外的要因

外的要因としては、気温や湿度、食事、睡眠、運動、ストレス、大気中の酸素量や二酸化炭素量、空気の汚染などがあります。例えば、酸素不足や二酸化炭素過剰が起こると、呼吸中枢が刺激されて呼吸が増加します。また、空気の汚染が慢性的に続くと、肺や気道にダメージを与えて、呼吸機能が低下することがあります。

自律神経が影響を受ける内的要因

内的要因としては、身体の状態や病気、薬の使用などがあります。また、ストレスが強いと交感神経が優位な状態になり、呼吸が浅くなることがあります。内的要因は、個人差が大きく、自律神経の状態に影響を与える要因が複雑に絡み合っているため、正確に把握することが難しい場合があります。

正しい呼吸法

呼吸というと「酸素をたくさん取り込む」ために、息を吸うことに意識が向けられますが、実は、息を吐くことが非常に重要です。しかし、姿勢不良、口呼吸、筋緊張、加齢などにより呼吸筋が衰えて十分な排気ができなくなると、肺の中に余分な空気がたくさん残って、肺が常に膨らんでいる「過膨張」になります。過膨張になると、新鮮な空気を取り入れるスペースが狭まり、酸素を取り込むために、呼吸筋を強く収縮させなくてはならず、その結果筋肉が緊張し、凝り固まり、肺の循環効率が悪くなります。

正しい呼吸法は、深くゆっくりとした腹式呼吸です。具体的には、以下のような手順で行います。

  1. 椅子に浅く腰掛けた座位または寝た姿勢を取ります。
  2. 口を閉じて、鼻から息を吸い込みます。吸う時には、腹式呼吸で、お腹を膨らませるように意識して呼吸をすることが大切です。(横隔膜が緊張しているとお腹が上手く膨らまないことがありますが、焦らなくて大丈夫です。あくまで意識することが大切なのです。)
  3. 吸い込んだ息を、静かに、長く、細く吐き出します。膨らませたお腹が、元の位置に凹むように意識をします。
  • 吸うときには、3秒くらいかけて吸い、吐くときには、7秒くらいかけて吐くようにします。
  • できるだけ、胸を上げたり、肩を動かしたりすることなく、腹式呼吸を行います。
  • 呼吸をするときは、呼吸音がしないように気を付けてみましょう。

正しい呼吸法を習慣化することで、自律神経のバランスを整えることができます。また、呼吸法を行うことで、ストレスや不安を軽減し、リラックス効果を得ることができます。呼吸法は、毎日少しずつ行うことで、効果が現れやすくなります。

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